骨盤が開くという誤解 ~ 産後の骨盤ケアについて

骨盤が開くという誤解 ~ 産後の骨盤ケアについて

骨盤の歪みと自分でできる骨盤ケア

骨盤はいくつかの大きな骨が靭帯という組織でガッチリと固定されいて、赤ちゃんは骨盤の底のわずかな隙間を縫うようにして生まれてきます。

骨盤低部が狭くて赤ちゃんが通れそうもないと判断されると、通常は帝王切開による出産になります。決して骨盤を広げて生まれてくるわけではありません。

ただ妊娠から出産にかけて骨盤は緩(ユル)むので、そこに様々な要因が重なって歪(ユガ)むことがあります。

そのまま何もしないよりキチンと骨盤をケアをした方が産後の肥立ちも良くダイエットにも効果的だということを、骨盤が開くのは誤解だということも含めて、できるだけわかりやすく説明していきます。

産後の骨盤ケア

骨盤矯正、骨盤ケアとは、緩んで歪んだ骨盤を元の状態に戻すことです。

産後しばらくは骨盤が緩んだ状態が続くので、身体をいたわる意味でも、回復を早める意味でも骨盤ベルト産後ガードルで骨盤を支えたり、トレーニングに活用することはおすすめです。

ただ、骨盤ケアで一番大切なことは骨盤周囲の筋力の回復を助けることなのです。

そこを間違えるとガードルを外したらお腹がポヨンとしてしまったり、この先もずっとガードルを離せない体になってしまうかも知れません。

まずは正しい骨盤矯正、骨盤ケアについて、一緒に勉強していきましょう。

では、骨盤緩む(ゆるむ)とか歪む(ゆがむ)とはどういう状態なのでしょう?

骨盤が緩むとは

妊娠すると色々なホルモンの分泌が始まります。

そのうちの、妊娠3か月あたりから分泌が始まる、主にリラキシンという女性ホルモンの影響で、骨盤を取り巻く靭帯や筋肉などの組織が緩み始めます。

リラキシンは主に子宮や産道を弛緩(シカン:緩むこと)させて出産を助ける働きを持っていますが、その影響で「恥骨結合」や「仙腸関節」の靭帯、骨盤周囲にある筋肉組織なども緩んでくるのです。

また、リラキシンの弛緩作用は、妊娠によって大きくなる子宮から靭帯や筋肉の断裂を防ぐ役割も果たしています。

骨盤は、靭帯で強固に繋がれた骨の集まりなので、それらの靭帯や周囲の支える筋肉が緩んだ状態を骨盤が緩むといいます。

骨盤が歪むとは

骨盤は、靭帯や筋肉が緩むと少し動くようになります。安定しなくなるのです。

また周囲の筋肉も緩んでいるので、骨盤の位置が変わったり傾くこともあります。そのとき骨盤が痛くなったり姿勢など身体全体に影響することもあります。

それを骨盤が歪んでいるといいますが骨盤自体がねじれているわけではありません

※上の図は骨盤の「横傾」

※上の図は骨盤の「前傾」と「後傾」

横傾と前傾、横傾と後傾など複雑に歪むこともありますし、骨盤を起点として他の骨格まで歪みが及ぶこともあります。

骨盤ガードルや骨盤ベルトをする理由

産前の骨盤ベルト

後ほど説明を加えますが、妊娠から出産にかけて腰(骨盤)が痛くなることがあります。

妊娠中の腰の痛みは骨盤の緩みや歪みからくるものが多く、骨盤を支えることで痛みが和らぐので、緩んだ骨盤を補助する目的で骨盤ベルトを使用します。

基本的に痛みがないときはベルトなどで締める必要はないのですが、予防目的で使用することもあります。

ただ妊娠中に使う骨盤ベルトは、使い方を間違えないように必ず産院や助産師さんなどの指導を受けてください。

また特に骨盤ベルトである必要はなく、妊娠帯(腹帯)や「さらし」の場合は骨盤を安定させることに加えて、胎児の位置を安定させたり腹部を保温してくれる役割もあります。

産後の骨盤ベルト

骨盤ベルトには色々な種類がありますので、ここでは産後用の骨盤ベルトについてお話します。

産後用といわれる骨盤ベルトやガードルも、主に骨盤を支えて痛みを和らげるために使います。

リラキシンの分泌は産後3日ほどで止まると言われていますが、長い人は2~3ヶ月続くこともあるので、腰回りが安定しないな‥と感じたり、少しでも痛みがあるようなら、無理をせずにベルトやガードルで守ってあげてください。

また痛みがなくても、まだ身体が回復していない状態で家事や育児、仕事に復帰しなければならないなど、痛みを予防するためや、骨盤の回復を助ける意味で使用する場合もあります。そこは臨機応変に活用して良いのです。

気をつけること

ただし、産後は衰えた筋肉をできるだけ早く回復させてあげることも大切なので、「楽だから。」「締めてないと不安だから。」という理由で常に骨盤ベルトを身に着けている状態は好ましくありません。

締め付けが強すぎると血行も悪くなりますし、常に固定されているような状態が続くと筋力の回復を遅らせてしまうことになります。

怪我をしたときなど、ギブスやコルセットを着けていると、どんどん筋力が衰えていくのと同じ理由です。身体のどこでも、使われなければ退化するように衰えていきます。

そこは冷静に判断してほしいと思います。

本当に骨盤は開かない?

主にリラキシンの影響で骨盤の「恥骨結合」や「仙腸関節」の靭帯が緩みます。

緩むといってもゴムのように伸びるのではなく柔軟性が増す程度です。

妊娠中は胎児の重みと子宮の膨らみで、骨盤の上部が外側に開くように圧力がかかり、仙腸関節の緩みもありますので、骨盤上部が開くこともありますが数ミリ程度です。このときは痛みを伴うことがあります。

出産の時は反対に、骨盤低部が数ミリ開くことがあります。しかしやはり数ミリ程度で、それも出産時の一時的なものなので産後はすぐ元通りに戻ります。

例えば産後しばらくリラキシンの影響が続き、靭帯を含めた骨盤が緩んでいたとしても開くほどではありません。仮に筋肉の動きや姿勢の変化で開いたとしても、開いてるかどうか判断すること自体不可能なレベルです。

また、生理中もそれに近い状態になりますので、とても「骨盤が開いている」とは言えないのです。

本当に骨盤が開いてしまったら

仮に、本当に骨盤が開いてしまったとしたら、一番考えられるのは「恥骨結合乖離」という状態です。

これは恥骨結合部の靭帯が切れたり、剥がれてしまった状態なので、大変な痛みを伴い歩行困難になるほどの重症といえます。出産時には痛みで気づかなかったとしても、その後の異常で必ずわかるはずです。

そうなってしまった場合は必ず医師の指示に従ってください。

自分でできる骨盤矯正・骨盤ケア

骨盤矯正、骨盤ケアをしようと思ったら次のことを意識して気をつけてください。

  • まずは骨盤を守ること
  • 腰(骨盤)の痛みを防ぐこと
  • 靭帯が回復するまで腰を労わり身体の回復を助けること
  • 腰回りの筋力の回復を助けること
  • 骨盤が傾くのを防ぐこと
  • 骨盤の歪みを感じたら正しい状態に戻すこと

整体・カイロプラクティック

骨盤の歪みを、整体やカイロプラクティックなど外から力を加えて直す方法もあります。

ただし、それは一時的なものなので数時間でまた元にもどります。一時的とはいえ、痛みを軽減するには有効な場合もあります。

また、トレーニング前に一時的にでも骨盤の歪みを取ることで、トレーニング中にバランスよく筋肉を使えるようになる利点もあります。

※整体やカイロプラクティックは、代替医療、資格を必要としない民間療法です。

いずれにしても骨盤矯正、骨盤ケアには筋力の回復が欠かせません。

骨盤ケアには筋トレ

骨盤の状態を正常に保つ筋肉は沢山ありますが、専門的にはスタビライザー、インナーマッスルといわれる筋肉です。

主なインナーマッスルには「腹横筋」「腹斜筋」「大腰筋」などがあります。

お尻の大殿筋を上から吊り上げるように付いている「中殿筋」も、骨盤の状態を正して姿勢を正すのに大切な役割を果たしています。

こうした普段はあまり使われない筋肉を回復させることが本来の骨盤矯正、骨盤ケアなのです。

家庭でも簡単にできるトレーニングを紹介します。

腰回し

骨盤周囲のインナーマッスルを使うトレーニングで効率的なのは、腰回しエクササイズです。

足を肩幅に開いて、両手を腰にシッカリ当てて、腰を床と平行な円を描くように回す運動です。

※引用:スリムロイナー

右から後ろへ、後ろから左へ、左から前へ、そして前から右へ、大きくゆっくり回します。

10回回したら反対にも回しましょう。

このときに最も効果を高めるのは呼吸法です。

難しい説明は省きますが、おへそから下腹にかけてをグッと引っ込ませて、その状態を保ったまま、静かに呼吸するようにしてみてください。腰の回転に呼吸を合わせる必要はありません。

プランク

腕立て伏せの姿勢で、ヒジを床について身体を伸ばした状態を保ちます。

この状態を10秒保持。慣れてきたら20秒、30秒、1分、2分と時間を長くしていきます。

呼吸は止めないように。ゆっくりと呼吸を続けます。

効果を高めるにはやはり呼吸法が重要です。

上と同じように、おへそから下腹にかけてをグッと引っ込ませて、その状態を保ったまま静かに呼吸を続けてください。

骨盤ベルトの注意点

骨盤ベルトは使い方が肝心です。

基本的に骨盤を支えるのは痛みがあるとか、その予防が目的です。また、出産で疲れた体を労わるために使います。

しかし、強い引き締めを続けているうちは筋力の回復の助けにはならないので、時々外して血行を促し、身体を動かすようにしてください。

引き締めが強ければ強いほど小まめに外して身体を解放してあげてください。

リラキシンの影響

実は、リラキシンは全身の靭帯や筋肉にも影響しますので、妊娠中は筋力が少し低下します。

また妊娠中はどうしても運動不足になりますので、さらに筋力が衰え、結果的に代謝も落ちて脂肪が付きやすい状態になっています。

妊娠~出産にかけてこれは避けられないものなのです。

骨盤ケアによるメリット

本来の骨盤ケアによって骨盤周囲の筋力回復を助けることは、骨盤の状態を正して姿勢やプロポーションを美しくすると同時に、全身の筋力の回復にも役立ちます。

筋力の回復は身体を引き締め、代謝を上げ、血液の流れやリンパの流れを促し、デトックス効果も期待できます。

本気でダイエットするのであれば、そうした視点から骨盤矯正、骨盤ケアをおこなうことが望ましいのです。

そんな視点から他の記事も読んで頂けたらと思います。

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